塩について

海水は「母なる海」と呼ばれるように生命の起源は海水であるといっても過言ではないと思います。海水の主成分は塩と水からできています。体液中の約9%はナトリウムを含んでいます。細胞内と細胞外の体液バランスを保つために骨にナトリウムを貯蔵し、細胞内カリウム濃度が高くなると、カリウムを排出し骨からナトリウムを放出させて細胞内に摂り込みます。
塩はpHコントロールにも関与しており、約pH7.45の弱アルカリ性に保つように働いています。食物の摂取を行うと消化する過程で酸性に傾きます。それをアルカリ寄りにするためにナトリウム(重炭酸ナトリウム)を出して調整しています。
胃で分泌される胃液の胃酸(塩酸)の原料もナトリウムです。胆汁成分も塩を原料としており、脂肪分解の役割をしています。
そして、アミノ酸とブドウ糖はナトリウムと結合しないと吸収することが出来ません。栄養吸収を行うといった側面から見ても塩が重要であることは理解出来ると思います。

 

まとめると・・・
・浸透圧の調整
・pH調整
・消化液の原料
・神経伝達
・栄養吸収
これらにナトリウムが関与しています。

 

ナトリウムというのはミネラル成分の一つで、ミネラル成分は他にマグネシウム、カリウム、カルシウム、鉄、亜鉛、銅などもミネラルの一種です。タンパク質、糖質、脂質と呼ばれる三大栄養素の事を有機質と呼び、ミネラルの事は無機質と呼びます。
無機質とは・・・物質を燃やすと灰と残りの残っている成分の事を差します。有機質には炭素が含まれているので、燃やすことで灰に変わります。

 

人体を構成する組織の3%程度にしかすぎないのですが、このミネラルが不足することで、身体の変調をきたす要因となってしまうのです。

 

では、塩を沢山摂取する必要があるのか?となるのですが、必要以上に塩分量だけを増やすと、相対関係にあるカリウムとの比率が悪くなり、カリウム不足の減少を引き起こしてしまいます。そうなると、体調不良を招く原因となってしまうのです。カルシウムとマグネシウムの関係も同じです。偏ったミネラル成分の摂り方、特に精製された塩化ナトリウムのみしか含まれないような塩だと、塩自体のミネラルバランスが悪いので、身体にとって良い塩かといわれると疑問が残ります。

 

昔ながらの製法で作られる塩は手間がかかる為に、コストも高くつきますが自然塩の方がミネラルバランスも良く、塩化ナトリウム以外にマグネシウム、カリウム、カルシウムも含んでいます。これらが含まれていることで、塩本来の風味が引き出されるのです。

 

医師は高血圧の患者さんに対して減塩を指導されますが、減塩して、高血圧が治るという保証もありませんし、脳血管障害・心疾患のリスクが実際に減るのかはわかりません。精製された塩を摂取しているとミネラルバランスの悪い塩という事になるので、ナトリウムの過剰摂取を招いている事になります。当然、その事で身体の調子が悪くなるという経過をたどってしまうのです。

 

減塩することは必要であっても、塩分を摂らないというのは無理がありますし、体調も崩してしまいます。その為には質の良い塩を摂取することが、体調を整える事に繋がっていきます。精製された塩をコストも安くつくので、ついつい手が出てしまいますが、ミネラルの偏りを引き起こすので、高血圧の人は避ける方が無難でしょう。

 

一般的にお勧めなのは、天日、平釜製法の物が比較的ミネラルバランスの良い物とされています。そして、原産地の海水がキレイな海で作られた物が良い塩といえるでしょう。購入する際は、裏に書いてある製造法を確認してから購入するのが確実です。製法は違いますが、沖縄の「ぬちまーす」は質の良い塩としては代表的です。
日本では馴染の薄い岩塩も一般的に良いと思われていますが、海水と違いミネラル成分の違いがあり、ナトリウム以外の成分が少ないものが多いのでお勧めとは言えません。世界的に見ると、岩塩の方がポピュラーで、世界的に見ると三分の二は岩塩が使用されています。風味が良いのでアクセントとして使う分には良い塩とは思いますが、メインで使うのはやはり海水から作られた塩の方が日本の風土的にも合うようです。色々な考え方もあり海水より岩塩の方が良いという考え方もありますが、私は試してみて自分に合う方を選べば良いと思います。少なくとも岩塩にしろ、海水塩にしろ精製された食塩よりも、自然に近い形で作られた物の方が身体に良い筈ですから。

 

ここまで、塩の事について書いてみましたが、医師から高血圧で減塩指導されている方は、身近な部分から変えていく事が身体の状態を変えていくことに繋がりますので、是非実践してみてはどうかと思います。

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