痛みの波及

痛みの波及

身体の一部を痛めると人は自然と庇う姿勢をとろうとします。その結果、身体の歪みをもたらします。

例えば、足首を痛めたとします。

・足の動きをカバーする為、反対側に体重を掛けて負担を減らします。

・痛めていない方でカバーする為に、関節にかかる負担が通常よりも多くなります。

・痛めている方の損傷部位の周辺筋肉は通常よりも疼痛緩和肢位を維持する為に使用頻度が減る為、筋力低下を起こします。

・痛めていない方の関節(足首、膝、股関節)の弱い部位に過重が強くかかり痛めやすくなる。

・歩行に偏りが現れ、骨盤の歪みや首の歪みの原因にもなる。

 

足首の捻挫を起こすと、単純にこれだけの影響が出るリスクがあります。

しかも足首というのは全体重の負担を受けている為、この部位を痛めると後々、尾を引くので早めの処置を行う事が賢明と思われます。放置期間が長引けば長引くほどこういったリスクがあることはご理解していただけると良いと思います。そして何より姿勢が悪くなることで身体の不調を招くリスクが高まる事は意識しておいた方が良いでしょう。

 

大きな筋肉ほど大きな力を発揮できる。

何らかの損傷で指を痛めたとします。そうなると周囲の筋肉がそれをカバーするように働くのですが、損傷した部位よりも大きな筋肉で損傷した部位の筋肉をカバーします。これも当然の話で小さな筋肉が損傷しているのに小さな筋肉で補助すると最終的には補助している筋肉も損傷させることになります。その為に、大きな筋肉で補助するようになっています。

この補助している筋肉も損傷部位の修復が進まないと筋肉に負担が掛かり、最終的に痛みを引き起こすことになります。これが痛みの波及です。この痛みが波及すると厄介な事に、他の部位にも広がり肝心の原因の元になっている部位が分からないといった事になってしまいます。

:ぎっくり腰などになると、痛みが強すぎて周囲にも痛みが波及して患部が分からなくなります。

痛みのある部位に注目しがちですが、この根本原因になっているところが不明であると、対応が分からないので、同じような生活を送ると、また同じことを繰り返すことになります。

また損傷した部位というのは、疼痛緩和肢位を自然と取ろうとするので、動きは極力少なくなります。長い期間その状態が続くと血流が悪くなります。損傷しても期間が短い間というのは少しでも早く修復させようとするため、血流が盛んになりますが、長期に及ぶことで徐々に血流を良くしなくても身体は大丈夫とみなし、血流は少しずつ緩やかになってきます。そうなることで患部の修復は遅延し、すっきりしないといった事が続きます。

 

血流が悪いことのリスク

ここで少し話は逸れますが、筋肉というのは酸素をエネルギーとして動くことができますが、その酸素の供給を行っているのは血液です。血液が流れないことで筋肉も十分な活動を行えなくなってしまい、損傷した部位を修復することが出来なくなってしまいます。

良く、ケガをしたときは冷やせと言いますが、あれは身体が早急に修復させようと血液を大量に流すため、発痛物質が分泌され痛みが強くなる為でもあります。その為、場合によっては修復を早める為に敢えて血流を高めるという荒療治を行うケースもあります。

筋肉というのは、血流を促進させるのに重要な役割を担っています。静脈とリンパ管というのは自動能が殆どなく、血流は筋肉に依存しています。その為に下腿部の筋力が低下すると浮腫みが起こりやすくなります。その為、筋力低下を起こすと血液が心臓に還りにくい為、静脈瘤が出来やすくなります。ひどくなると美観が悪くなるだけでなく頻繁な倦怠感、こむら返りの原因ともなります。

今回のブログで一番お伝えしたいのは

・ケガをしたら早めに処置をしないと弊害が生じることがある事。分からない時は専門の人に指示を仰ぐ。放置しない。

・血流が悪いと修復が遅れる事。

・筋力低下は血流低下を起こしてしまう事。

これらのことを日常生活で意識すると、予防にもつながるので、是非意識してみてください。